月別アーカイブ: 2016年10月

ストレスチェックにストレスを感じていませんか

ストレスチェックのWebプログラムを自作しました。
https://www.office-yoshijima.com/occupationalphysician/responsibility/stresscheckdemo/

会社でストレスチェックを実施する責任者の方とストレスチェックの実施状況を見ながらお話させて頂く機会が増えています。個人情報保護、高ストレス者対応等々に相当苦心されていて、ストレスを溜めていらっしゃらないかと心配になるほどです。

ストレスチェック実施の趣旨は自分が抱えているストレスに気づき、セルフケアのきっかけとなればということにあります。

不調を判定できるものでは決してないので、結果を深刻にとらえないようにと申し上げるようにしています。産業医面談を希望された方には、ストレス要因をもう一度具体的に整理してみて、どのようにしたらひとつひとつのストレスを減らすことができるかいっしょに考えてみませんかと提案させていただいています。

下表は厚生労働省「ストレスチェック制度導入マニュアル」の抜粋です。

厚生労働省「ストレスチェック制度導入マニュアル」より

厚生労働省「ストレスチェック制度導入マニュアル」より

厚生労働省「ストレスチェック制度導入マニュアル」より

厚生労働省「ストレスチェック制度導入マニュアル」より

厚生労働省が想定しているストレスチェックとは、自分のストレスをチェックする「簡単な検査」です。

最近ストレスが溜まっているなと感じた時に手軽に気軽に測れるものでなければその趣旨に反します。多額のお金を外部業者に払い、これだけのお金を費やしているのだからとストレスチェックを過大視し、その一回だけの結果を深刻に捉え、問題視するのは精神衛生上よくありません。血圧が高めの人が、家庭血圧を測り記録するような簡便さがストレスチェックにも必要です。厚生労働省は自社で低コストでできるようフリーのプログラムを提供しているのですから。

一度やってみて要領がつかめたのではないでしょうか。

ストレスチェック実施体制を見直してはいかがでしょうか。

個人情報保護については、IDを各個人のメールアドレスにして、パスワードを支給して、プログラムにアクセスできるようにすれば問題ないのではないでしょうか。会社に血圧計を置いて、時折チェックできるようにしているところも結構見かけますが、ストレスチェック用のパソコン(中古の低価品で問題なし)を置くのもひとつの手かなと思います。システムはフリーのgoogleフォームなどで作れますデータの保守管理は産業医がやればいいのです。
ストレスチェックも血圧測定同様、こまめに経過を見ることが大切です。気軽に手軽に測れることで従業員の方々のストレスチェックに対する抵抗感も薄らぎ、セルフケアに対する意識も高まっていくことと思います。

厚生労働省より平成27年労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況が10月13日公表されました。

それによると
仕事や職業生活に関することで、強いストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合は55.7%、仕事や職業に関する不安、悩み、ストレスについて相談できる人がいると答えた労働者の割合は84.6%、相談できる人がいるとした労働者のうち「実際に相談した」労働者の割合は78.1%です。ということは

5割以上の方が仕事で強いストレスを感じ、その内誰かに相談できた割合は、66.2%・・・約2/3

という結果になります。1/3の方が孤立感を持っているということでしょうか。産業医面談をしているとストレスを抱えている方には孤立感を覚えている方が多いと感じます。

「実際に相談したことがある」労働者のうち、ストレスが「解消された」とする労働者の割合は31.1%、「解消されなかったが、気が楽にになった」とする労働者の割合は59.1%です。

産業医面談後、話して気が楽になったと言って下さる方が少なからずいらっしゃいます。

気軽に相談できる環境作りが最も大切だと感じています。

下図は相談できる相手、実際に相談した相手の調査結果です。

ストレスの相談相手について(厚生労働省「平成27年労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況」データより作図)

ストレスの相談相手について(厚生労働省「平成27年労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況」データより作図)

上司・同僚、家族・友人が圧倒的です。それに比べ産業医、産業医以外の医者と言ったら・・・。産業医を雇っているはずだが会社で見かけたことがない、仕事のことをわかっていない医者に仕事上の悩みについて相談しても無駄(製造業で働いているときはそう思っていました。今も力不足を感じることがよくあります。)、メンタルクリニックは敷居が高い等が理由でしょうか。さらに産業医は、「相談できる(はずの)人」に対する「実際に相談した人」の比率が極端に低い。産業医の多くが有名無実ということでしょうか。近くのクリニックに産業医をお願いしているけど滅多に来ない、15分の面談をお願いしたけど2~3分で終わりということを耳にします。

職場の実情に即したセルフケア、ラインケアを自分たちで考え試行錯誤でいいので少しずつ実践してみませんか。実情から乖離したセミナーを聴講するだけでは役に立たないように思えます。

ストレスチェックよりセルフケア、ラインケア教育にお金を使うほうが本筋です。

 

感染症予防-インフルエンザ

 

インフルエンザウイルスもノロウイルスと同様に口からウイルスが入って感染します。インフルエンザに罹ったヒトが咳やクシャミをすると細かい無数の唾液、痰が周囲に飛び散ります。その中にインフルエンザウイルスが潜んでいて、周りのヒトが吸い込み感染します。これを飛沫感染といいます。ですので、職場、家庭でインフルエンザを蔓延させないためには、インフルエンザウイルスに罹ったかなと思うヒトは必ずマスクをすることです。罹っていないヒトもインフルエンザが流行している季節はマスクをすることをお勧めします。こまめに手洗い、うがいをすることも有効です。うがいは口の中のウイルスを洗い流すだけでなく、のどの粘膜を刺激し免疫力を高める効果があると言われています。以下に、インフルエンザウイルスの症状、予防及び治療について簡単ですがまとめています。

[症状]

急激な発熱。38度を超えることが多いです。

悪寒、頭痛、関節痛、倦怠感、咳、痰など。

[予防]

インフルエンザワクチン接種:ただし、免疫ができるまで、接種してから3~4週間かかること、接種しても3割強のヒトには十分な免疫ができないこと、数ヶ月で効果がなくなることに留意が必要です。

加湿:空気中を漂うインフルエンザウイルスは、湿度を50%以上にすると死滅します。職場・家庭内の湿度を50%以上に保つことは予防に極めて有効です。

咳エチケット(マスク着用)、手洗い、うがい励行

[治療]

インフルエンザに罹ったかなと思ったら内科を受診して下さい。受診すると、まずインフルエンザ迅速診断キットでインフルエンザに罹っているか診断します。所要時間は10分程度です。インフルエンザ陽性と診断されたら、抗インフルエンザ薬(タミフル、イナビルなど)、症状に応じて解熱剤、咳止めなどが処方されます。インフルエンザに罹っていても症状が出てから12時間以内では、インフルエンザ迅速診断キットで陽性にならないことが多いです。また、症状が出てから48時間以内でなければ抗インフルエンザ薬を服用しても効果がないことにも留意して下さい。インフルエンザに罹ったら、処方された解熱剤を飲み、安静にし、こまめに水分補給をすることが一番の治療です。ただし、ノロウイルス同様、体力のない子供、お年寄りは重篤になる場合がありますので、必ず受診し、医師の指示に従って下さい。

詳細は、

厚生労働省「インフルエンザ(総合ページ)」

をご参照下さい。

 

 

ストレスチェックにGoogle フォームを使ってみる(1)

ストレスチェックのWebプログラムを自作しました。
https://www.office-yoshijima.com/occupationalphysician/responsibility/stresscheckdemo/

Googleフォームはアンケートやテストの作成からメールやwebサイト上(スマホにも対応)での回答、さらにはMirosoft Excelのように結果の集計・解析機能までも持ったフリーツールです。これを使って「ストレスチェック実施システム」を作ろうと思います。

1.厚生労働省webサイトから「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」と「数値基準に基づいて「高ストレス者」を選定する方法」をダウンロードしておきます。

2.Googleアカウントを持っていない方は、Googleアカウントヘルプ「Googleアカウントを作成する」をご参照ください。

3.ドキュメントエディタヘルプ「Googleフォームでアンケートを作成する」を参照しながら「職業性ストレス簡易調査フォーム」を作って行きましょう。

4.Google フォームサイトの右下の赤いプラスボタンをクリックすると下図のように新しいフォーム(無題フォーム)が開きます。

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PC&スマホ対応 ストレスチェック入力フォーム作成手順(1)by Googleフォーム

5.1でダウンロードした職業性ストレス簡易調査票からコピペをしていきます。まずは「無題のフォーム」を「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」、無題の質問を例えば「氏名」にして、右横の「ラジオボタン」をクリックして「記述式」に変更しましょう。右下のごみ箱マークの左隣の長方形アイコンをクリックすると氏名入力欄を下にコピーできます。氏名をIDなどに変更しましょう。このようにして回答者の情報入力項目を追加することができます。

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PC&スマホ対応 ストレスチェック入力フォーム作成手順(2)by Googleフォーム

6.フォームの右側に5つのアイコンが縦に並んでいます。一番上が「質問追加」アイコン、一番下が「セクション追加」アイコンです。「セクション追加」アイコンをクリックし、さらに「質問追加」アイコンをクリックすると下のような新しいフォームが形成されます。

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PC&スマホ対応 ストレスチェック入力フォーム作成手順(3)by Googleフォーム

7.「無題のセクション」を空欄、「説明(省略可)」に「A あなたの仕事についてうかがいます。」をコピペします。「質問」欄に「1.  非常にたくさんの仕事をしなければならない」をコピペし、「ラジオボタン」をクリックして選択式(グリッド)に変更します。選択肢を追加していき、1列目に「そうだ」、2列目に「まあそうだ」、3列目に「ややちがう」、4列目に「ちがう」と入力していきます。

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PC&スマホ対応 ストレスチェック入力フォーム作成手順(4)by Googleフォーム

8.ごみ箱マークの左隣の長方形アイコンをクリックして、作成した質問を下に2つコピーして、質問を変更すると下図のようになります。レイアウトはお好みで。「1行につき回答は1つ必要」をオンにすることをお忘れなく。

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PC&スマホ対応 ストレスチェック入力フォーム作成手順(5)by Googleフォーム

9.作成を終了したら、画面右上に並んでいる3つのアイコンの真ん中のアイコンをクリックすることで実際に回答する際のフォームを確認することができます。

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PC&スマホ対応 ストレスチェック入力フォーム 作成手順(6)by Googleフォーム

作成したフォームはこんな感じです。

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PC&スマホ対応 ストレスチェック入力フォーム作成手順(7)by Googleフォーム

10.画面右上に並んでいる3つのアイコンの右側のアイコンをクリックすると下のような画面が現れ、回答を1回に制限することができます。回答者が行える操作にチェックが入っていると他の方の結果も見ることができるようになりますので、必ずチェックは外しておきましょう。

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PC&スマホ対応 ストレスチェック入力フォーム作成手順(8)by Googleフォーム

11.この回答フォームを置いているURLを回答者にメールで知らせることで回答してもらうことの他、メールにフォームを送信して回答してもらうことも可能です。回答は自動的にgoogleスプレッドシートに保存されます。こんな感じです。

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PC&スマホ対応 ストレスチェック入力結果(例) by Googleスプレッドシート

12.googleスプレッドシートは、Microsoft Excelと同じような関数が使えます。ダウロードした「「高ストレス者」を選定する方法」に従って、「そうだ」、「まあそうだ」、「ややちがう」、「ちがう」等を数値に置き換えます。

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PC&スマホ対応 ストレスチェック解析例(1) by Googleスプレッドシート関数

13.これで後は集計・判定です。

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PC&スマホ対応 ストレスチェック解析例(2) by Googleスプレッドシート関数

高ストレス者に該当し面談を希望された方と実際に面談していて、この領域の設問は十分だけど、こちらの領域ではもっと具体的な設問とストレスの原因と症状の相関をうまく表現できる解析が欲しいなと思うことが結構あります。臨機応変な設問パターンと解析方法について今後提案していきたいです。