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慶応大学病院 新型コロナ治療目的以外の入院患者でPCR検査陽性率6%の意味②

「慶応大学病院 新型コロナ治療目的以外の入院患者でPCR検査陽性率6%の意味」で

「 4月13日から4月19日の期間に新型コロナウイルスが体内にいた人が6%であり、それ以前にも、多くの人が新型コロナウイルスに感染し、自覚ないまま他の人にうつしてしまい、うつされた人の多くもすでに治っていて、体内にはもうウイルスがいない(抗体ができている)と考える方が素直なのではないでしょうか。」

と申し上げましたが、

PCR検査の感度(感染している人が検査陽性となる割合)は30~70%であることより

実際に感染している人の割合は少なくとも8~9%

と推定されます。

 

まずはその計算についてご説明申し上げますが、ちょっとマニアックです。

期待を込めて(こんなに良いわけないでしょうが)
感度(感染している人が検査陽性となる割合)を0.7(=70%)
特異度(感染してない人が検査陰性となる割合)を0.999(=99.9%)

とします。

とすると、

感染している人が検査陰性となる割合は0.3
感染してない人が検査陰性となる割合は0.001

になります。

本当に感染している人の割合をXとして、慶応大学病院の場合に当てはめると
67人に検査して陽性だったのが4人でしたので、下の表のようになります。

 

感染者67X(人)

非感染者67(1-X)(人)

計(人)

PCR検査陽性

67X×0.7

67(1-X)×0.001

4

PCR検査陰性

67X×0.3

67(1-X)×0.999

63

 

ここで、Xの一次方程式を解いて

上段:67X×0.7+67(1-X)×0.001=4よりX=0.089
下段:67X×0.3+67(1-X)×0.999=63よりX=0.084

となり、実際に感染者している人の割合は8~9%になります。

感度が0.7より低いとさらに感染している人の割合は大きくなります

さらに、

多くの人が新型コロナウイルスに感染し、自覚ないまま他の人にうつしてしまい、うつされた人の多くもすでに治っていて、体内にはもうウイルスがいない(抗体ができている)と考えると、これまでに感染した人の総数は、8~9%よりも大きくなるはずです

 

これまでに感染した人の総数は15%くらいにはなるかもしれませんが、下記のような

さらにマニアックな話になりますので、あらためて投稿します。

ひとりの感染者が平均R人に感染させ、R人の一人一人がさらに平均R人に感染させていくというように感染の連鎖が続いているとした場合、最初の感染者数をAとすると感染者の総数Sは、かなり単純な近似ですが、以下のように表すことができるでしょう。

A+A×R+A×R+・・・・・+A×Rn-3+A×Rn-2+A×Rn-1
=A×(R-1)/(R-1)=S

最初の感染者を第一世代、最初の感染者からうつされたR人を第二世代というように命名して、慶応大学病院で新型コロナ治療目的以外の入院患者に対してPCR検査を実施したのが第n世代のころであったとします。

前の第(n-1)世代の感染者の人の何割が第n世代のころでもウイルスが体内にいるか、第(n-2)世代、第(n-3)世代・・・ではどうかを見積もる必要がありますが、次の世代にウイルスがうつされるのに平均どれくらい日数がかかっているか、感染者が体内からウイルスを追い出すのに平均どれくらいの日数がかかるかを推定する必要あります。

続く

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