疫学・医療統計を信用できる?

信用できないなあと思うことが今までも多々ありました。

人と人との接触をどれだけ制限すれば、新規感染者がどのように減少するかを「専門家」が示したグラフが下図になります。

新型コロナ感染者推計

このグラフを見て、苦笑した方も多いのではないでしょうか。

「外出を欧米に近い形で厳しく制限し、人と人の接触を八割減らす対策を取れば、十日~二週間後に感染者が一日数千人のピークに達しても、その後に対策の効果が表れ、30日後くらいに急速な減少に転じる」ということらしいです。このグラフで急速な増加から減少に反転するような点を特異点といいますが、こういう点があること事態、まず?と思ってしまいます。

Aを「ウイルスが体内に入ってきても自己の免疫力によって感染が成立しない人(すでに感染して免疫を獲得した人も含む)」、

Bを「感染しても症状が出ない人」

とすると、全体に占めるA、Bの割合がまず判っていません。おそらくコロンビア大学病院の調査結果

慶応大学病院の調査結果より、「専門家」がおっしゃっているよりA、Bの割合ははるかに多いと思います。

さらに、感染して発症した場合でも、潜伏期間にかなりの幅(1~14日)があります。潜伏期間~発症~治癒のどのタイミングで他の人にどれだけの確率でうつすかもはっきりしていません。

以上、不確定要因があまりにも大きいので、本当の再生産数など求めることができないはずです。

「外出を欧米に近い形で厳しく制限し、人と人の接触を八割減らす対策」と言っていますので、欧米のデータを基準にしているようですが、日本人は欧米人のように挨拶で、握手、ハグ、キスなどしません。欧米人より、手洗い、うがい、家での土足禁止等、感染予防に有効な習慣が身に沁みついています。

特異点がある事態、さまざまな重要な因子を取り込めていないのだろうと思っています。

 

感染者数、患者数の日々の変化を見ると、一週間を一周期として変動しているように見えます。これは、残念ながら、PCR検査処理能力不足が原因でしょう。保健所がPCR検査を承認する割合が低いことに加え、PCR検査を受け付けたとしてもPCR検査までの時間、検査結果が出るまでの時間が1日から数日とまちまちなようです。土、日のPCR検査受付が非常に少ないため、月曜日に報告される検査結果数が最小となり、週末に向けて増加するということを繰り返しているのでしょう。

ですので、一日一日の感染者数に一喜一憂するのは意味がありません。

ざっくり、火曜日から次の週の月曜日での合計数が、その火曜日を含む週の感染状況を反映していると考えた方が実態に即していると思います。

感染者数即ち検査陽性者数には感染していないのに陽性(擬陽性)になったかわいそうな人も含まれますので、患者数で見る方が少しは実態に合っているように思います。

そこで、火曜日から次の週の月曜日での新規患者数を求め、一日当たりの新規患者数を求めてみました。

データは、

新型コロナウイルス 国内感染の状況 – 東洋経済オンラインhttps://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/

から借用しました。とても分かりやすいグラフを載せています。

期間

新規患者総数

平均新規患者数/日

1

3月17日~3月23日

185

26

2

3月24日~3月30日

643

92

3

3月24日~4月 6日

1563

223

4

4月 7日~4月13日

3318

474

5

4月14日~4月20日

2976

425

6

4月21日~4月27日

1962

280

グラフにしてみると

平均新規患者数の変動状況

新規感染者(PCR検査陽性者)の数は、新規患者数の2割増しくらいです。

「専門家」による新規感染者数推計とのように、特異点もなくスムーズな近似曲線が描けそうです(近似曲線についてはあらためて)。

 

緊急事態宣言が出されたのは、4月7日でグラフでは4週目の初めです。自粛の効果が出てくるのは、自粛を始めてから2週間後と言われていますので、グラフで4週目から6週目にかけて、減少傾向が見られるのは緊急事態宣言の効果ではなさそうです。志村けんさんがお亡くなりになったことで、多くの人が危機的状況にあることを実感されたからだと思います。志村さんがお亡くなりになったのが3月29日でこのグラフでは2週目になりますので、減少傾向が見られる2週間前のことで符合します。

志村けんさんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。

 

さて、「専門家」が現状については、思っていたほど自粛の成果が出ていないと最近おっしゃっていましたが、推計よりも一桁少ない新規感染者数で、推計よりもかなり早い段階で減少に転じているのですがね。

「専門家」が

人と人との接触を8割削減する対策を取った場合
流行の30日後、10万人当たり、感染者数は1,200人余りになるとおっしゃっていました。

これを東京都にあてはめると、都民1,400万人中16万8千人余りが感染

日本全体にあてはめると、国民1億2,000万人中144万人余りが感染

となるのですが。その推計大丈夫でしょうか。

コロンビア大学病院の調査結果慶応大学病院の調査結果から実態に合っていそうにありません。

元々、日本企業の多くが、政府や大学を当てにしていません。行政や「専門家」が想定していた以上の様々な取り組みを自主的に行い、その自粛の効果が出ているとデータを見ていて実感しています。

感染しない&感染させない今の対策を気を抜かず継続していけば、「専門家」が想定しているより早期に収束していくと確信しています。底辺医師の私見ですが。


Warning: Undefined variable $aria_req in /home/anzenkenko/anzenkenko.com/public_html/wp-content/themes/child/comments.php on line 62

コメントありがとうございます

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください